2026年9月29日
「胃潰瘍の原因といえばピロリ菌」と聞いたことがある方は多いと思います。
実際、ピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍の重要な原因です。また、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)も潰瘍を起こす代表的な薬剤です。
しかし最近の研究では、ピロリ菌にも感染しておらず、NSAIDsも使用していないのに消化性潰瘍を発症する患者さんが、決して少なくないことが分かっています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の約13%は
「ピロリ菌・NSAIDs以外」
2026年に医学誌 Alimentary Pharmacology & Therapeutics に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、世界32か国、92研究、60,816人のデータが解析されました。
その結果、胃潰瘍・十二指腸潰瘍のうち、約13%が「ピロリ菌陰性かつNSAIDs非使用」の潰瘍でした。
つまり、消化性潰瘍のおよそ8人に1人は、代表的な2つの原因だけでは説明できないことになります。
さらに、出血を伴う潰瘍では約11%、穿孔した潰瘍では約22%がピロリ菌・NSAIDsのいずれにも該当しませんでした。
ピロリ菌陰性なら安心、とは限りません
ピロリ菌が陰性だったからといって、「胃潰瘍になる心配はない」というわけではありません。
ピロリ菌とNSAIDs以外にも、潰瘍にはさまざまな要因が関係します。
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喫煙
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飲酒
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NSAIDs以外の薬剤
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全身状態や基礎疾患
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クローン病などの消化管疾患
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一部の感染症
また、原因を十分に調べても明らかな原因が分からない「特発性潰瘍」も存在します。
「ピロリ菌陰性」の判断にも注意が必要です
もう一つ重要なのが、一度の検査で陰性だったからといって、必ずしもピロリ菌感染を完全に否定できるわけではないという点です。
ピロリ菌の検査には、胃カメラで組織を採取する方法、尿素呼気試験、便中抗原検査など複数の方法があります。
特に潰瘍から出血しているときや、胃酸を抑える薬(PPIなど)を服用している場合には、検査結果に影響することがあります。
そのため、胃カメラで潰瘍が見つかった場合には、潰瘍の状態や内服薬、これまでのピロリ菌検査歴などを総合的に判断することが大切です。
胃潰瘍では「原因を調べる」ことが大切です
胃潰瘍が見つかったときは、薬で潰瘍を治すだけではなく、
「なぜ潰瘍ができたのか?」
を考えることが重要です。
特に胃潰瘍では、胃がんなどが潰瘍のように見えることもあるため、胃カメラで直接観察し、必要に応じて組織検査を行います。
「ピロリ菌は陰性だったから大丈夫」と自己判断せず、症状が続く場合や潰瘍を指摘された場合には、消化器内科で適切な評価を受けることをおすすめします。
よくある質問
Q. 胃潰瘍はピロリ菌がいなくてもできますか?
はい。2026年のメタ解析では、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の約13%がピロリ菌陰性かつNSAIDs非使用でした。
Q. ピロリ菌陰性の胃潰瘍では何を調べますか?
NSAIDsやアスピリンを含めた内服薬を確認し、ピロリ菌が本当に陰性かを評価したうえで、その他の薬剤、基礎疾患、消化管疾患などを検討します。
Q. 胃潰瘍が見つかったら胃カメラは必要ですか?
胃潰瘍では良性・悪性の鑑別が重要です。胃カメラで潰瘍を直接観察し、必要に応じて生検による病理検査を行います。
まとめ🌱
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌と鎮痛薬だけで説明できる病気ではありません。
潰瘍を見つけることだけでなく、その原因まできちんと評価することが重要です。
参考文献✏️
Watanabe J, et al. Meta-Analysis: Prevalence of Non-Helicobacter pylori, Non-NSAID Peptic Ulcer Disease. Aliment Pharmacol Ther. 2026. doi:10.1111/apt.70906.
