2025年6月05日

消化器内科は、「消化に関わる臓器」に不調があるときに受診する診療科です。私たちの体は、食べ物を摂取し、消化・吸収し、最終的に排出するという流れで日々のエネルギーを得ています。この一連の流れに関わる器官を「消化器」と呼び、口から始まり、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門へと続く消化管のほか、肝臓、胆のう、膵臓といった臓器が含まれます。
消化器内科では、これらの臓器に関連する「症状」や「異常」が見られたときに、原因を調べて診断し、治療や生活指導を行います。特に、お腹の痛みや吐き気、下痢や便秘といった症状は、多くの方が経験するものですが、それがどのような病気に関係しているのかを明らかにし、適切に対応するのが消化器内科の役割です。
主に診てもらう症状
消化器の不調は人それぞれですが、代表的な症状は以下のとおりです。
- 腹痛
食後の痛み、空腹時の痛み、差し込むような痛みなど、部位やタイミングによってさまざまな疾患が考えられます。 - 胸やけ・げっぷ・喉のつかえ感
胃酸が食道に逆流している可能性があります。 - 胃もたれ・食欲不振
胃や十二指腸の機能低下、あるいはピロリ菌の感染が疑われます。 - 吐き気・嘔吐
胃腸の炎症や消化不良のほか、肝臓や膵臓の病気が関係していることもあります。 - 便秘・下痢
腸の働きが乱れている場合に多く見られます。ストレス性のものから慢性疾患まで幅広い原因があります。 - 血便・黒い便
大腸や胃からの出血がある場合、便の色に変化が出ることがあります。放置は禁物です。 - お腹の張り・ガスが溜まる
腸内環境の乱れや便秘、腸閉塞などが原因で起こることがあります。 - 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
肝臓や胆道系の異常によって起こることがあります。 - 原因不明の体重減少や倦怠感
消化器系のがんや慢性炎症性疾患が隠れていることもあるため、早めの受診が重要です。
健康診断での異常も対象
消化器内科は、健康診断で指摘された異常に対しての再検査や精密検査にも対応します。
- 便潜血陽性
大腸がんやポリープ、痔などの可能性があるため、大腸内視鏡検査が推奨されます。 - 肝機能異常(AST、ALT、γ-GTPなどの数値の上昇)
脂肪肝、肝炎、アルコール性肝障害などが原因になっていることがあります。 - 腫瘍マーカーの上昇
胃がん、大腸がん、膵がんなどの早期発見のための追加検査が必要となります。
消化器内科が対応する主な臓器
胃・食道
- 胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア
- 食道がん・胃がんの早期発見や経過観察
- ピロリ菌の検査と除菌治療
腸(小腸・大腸)
- 過敏性腸症候群、感染性腸炎
- 潰瘍性大腸炎、クローン病(炎症性腸疾患)
- 大腸ポリープ、大腸がん
- 慢性的な便秘や下痢の原因解明
肝臓・胆のう・膵臓
- 脂肪肝、B型・C型肝炎、肝硬変、肝がん
- 胆石、胆のう炎、胆管炎、胆道がん
- 急性膵炎・慢性膵炎、膵がん
肝臓・胆のう・膵臓は「沈黙の臓器」とも言われ、症状が出にくく、病気の発見が遅れることがあるため、症状が軽くても早めの診察が重要です。
消化器内科に相談すべきタイミング
以下のような場合は、自己判断せず消化器内科を受診しましょう。
- 数日以上続くお腹の違和感や痛みがある
- 胃のムカムカや胸やけが頻繁に起こる
- 急に便通が変わった、便に血が混じる
- 体重が急に減った
- 健康診断で再検査を指示された
- 家族に消化器系のがんの既往がある
まとめ
消化器内科は、私たちの体の「入口から出口まで」に関わる、非常に多くの臓器と疾患をカバーする診療科です。日常のちょっとした不調から、がんなどの重大な病気まで、その背景には消化器の異常が隠れていることがあります。違和感を感じたら我慢せず、早めにご相談ください。早期の発見と対応が、治療をより確実で負担の少ないものにします。消化器のことで不安があれば、まずはお気軽に受診していただくことをおすすめします。