2025年12月12日
〜食事と生活を整えるだけで改善できる“MASLD(マスルド)”〜
こんにちは。
里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニックの院長、稲田です。
最近、「健康診断で脂肪肝を指摘された」という方がとても増えています。
実はいま、この“脂肪肝”という病気は世界的に見直され、MASLD(マスルド)=代謝異常関連脂肪肝という新しい名前で呼ばれるようになりました。
🔍 MASLD(マスルド)とは?
MASLDは、肝臓に脂肪がたまり、さらに
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)
・肥満
など、生活習慣病のいずれかを持っている状態をいいます。
つまり、生活習慣の乱れが肝臓に現れた状態です。
⚠️ 放っておくとどうなるの?
脂肪肝の段階では自覚症状がほとんどありませんが、放置すると肝臓が硬くなる(線維化)、やがて肝硬変や肝がんに進行することもあります。
また、脂肪肝の方は心筋梗塞や脳卒中のリスクも高くなることがわかっています。つまり脂肪肝は、「肝臓の病気」であると同時に「全身の生活習慣病」でもあるのです。
🩺 治療の基本は「生活改善」
MASLDの治療は、薬ではなく生活習慣の見直しが基本です。これが最も効果的で、再発を防ぐ唯一の方法です。
1️⃣ 体重を7〜10%減らす
体重を少し減らすだけでも、肝臓の脂肪や炎症が改善します。
(例:70kgの方なら、−5〜7kgが目安です)
2️⃣ 食事のポイント
・ご飯・パン・麺などの糖質を少し控える
・甘い飲み物やお菓子を減らす
・魚・野菜・豆類を中心に、「和食+地中海食」スタイルを意識
・夜遅い食事は避ける
食事の見直しは、自己流ではなかなか続きません。
当院では、管理栄養士による個別の栄養指導を行っています。
普段の食事内容を一緒に確認し、無理のない範囲で改善できるようサポートします。
3️⃣ 運動を習慣に
・週150分(1日30分×週5日)を目標にウォーキングやストレッチ
・できれば週2〜3回、軽い筋トレもおすすめ
4️⃣ アルコールと喫煙に注意
少量の飲酒でも脂肪肝を悪化させることがあります。
「肝臓を休ませる日」を週に数日つくるだけでも効果的です。
🧪 定期的なチェックで“見える化”を
当院では、血液検査や腹部エコーで肝臓の形や新規病変の有無を定期的に確認しています。
生活習慣の改善によって肝臓の状態がどう変わっているかを一緒に確認し、その方に合ったペースで次のステップを考えていきます。
🌱 まとめ
・脂肪肝は“生活習慣の赤信号”
・放置すると肝硬変・肝がん、そして動脈硬化のリスクが高まる
・体重の7〜10%減少で改善が期待できる
・食事・運動・禁酒が最も効果的な治療
・当院では管理栄養士による食事サポートを実施中
「脂肪肝と言われたけれど、何から始めたらいいかわからない」
「自分の食生活を見直したい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
私たちと一緒に、“肝臓を軽くする生活”を始めましょう。
里村消化器内科・胃と大腸内視鏡クリニック
院長 稲田 宥治
